現実のPIIGSのデフォルトを防止するための政策を実現するための事務作業は、今週から始まる。
それは、
(1)「そうは言っても」という変わらぬ現実への帳尻合わせ
(2)変わってしまった新しい現実への対応策
が、同時進行的に忙しく動き出すことを意味する。
週明けの月曜日には、メディアも多種多様な分析記事を掲載し始めた。
拒否権を行使したキャメロン首相も、さっそく「二枚腰&三枚舌」の欧州外交という水面下
( 日本語オリジナル記事は、こちら )
どのくらいの頻度で信用の債権者のレポートができます
(英文オリジナル記事は「Cameron Tells Parliament He Protected U.K.'s Interest by Vetoing EU Treaty」)
「二枚腰&三枚舌」の欧州外交、これは小国寄せ集めの欧州の歴史的必然だ。
US、ロシア、中国などの大国には決して理解できない「複
大国なら、その他の小国に対して自国の政策を頭ごなしに強制できる。
しかし、似たり寄ったりの国が複数ひしめき合っている状態だと、連合を組まれてしまえば負けてしまう。
だから、常に複数のシナリオに対応して、潜在的な仲間を複数用意しておく必要がある。
しかも、プランAのシナリオでは敵国のA国が、プランBでは味方になる。
日本人なら気が狂ってしまうような複雑怪奇、地味朦朧な世界だ。
こんな国際政治の関係を1000年以上も経験してきた欧州(特に大陸欧州)にとっては、二枚腰&三枚舌の外交交渉は欧州国際政治の当然の姿、この能力なしには国の存在すら危ういのだ。
平和裏に地図上から抹殺されたポーランドの歴史を見れば明らかだ。
参考ウィキペディア:ポーランド分割
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誰が公共のスピーカーを募集していますPIIGSのCDSスプレッドは、変わらぬ現実を前に悪化した。
ギリシアのチャートを見ていると、もう国が独立していない状態、他の欧州諸国に完全におんぶにだっこ状態で既にデフォルトしていることを示している。
複数の欧州銀行は瀕死の状態で分水嶺を歩いているようだ。
昨夜は、コメルツ銀行の国営化(市でに25%国営化だと思う)のうわさが流れていた。
( オリジナル記事はこちら )
そんな状況だから、US$LIBOR(下チャート左)もまったく下がる気配を見せない。
この状態が悪化を続けると、2008年の再来になる。
まさかとは思うが、用心しながら、US$LIBORを観察しておきたい。
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危機が収まったとしても、欧州は当分ペナルティ・ボックス入りだと思う。
前回欧州が混乱したのは、1990年代前半だ。
当時は東西ドイツの統合のユーフォリアが盛り上がったが、あっという間に「東西マルクの対等合併の弊害」など後遺症が多発した。
1990年8月のイラクのクウェート侵攻で混乱した世界経済が立ち直る前に発生したので、欧州は長期低迷に陥った。
参考ウィキペディア:ドイツ再統一の再統一後の問題点をご覧ください
今回もサブプライムの余震がおわまらない状態で、PIIGS危機が来てしまった。ダブルで悪材料が来ている訳で、他地域よりも冴えない状況が継続すると判断するのが自然だろう。
企業governancesは失敗しない理由
下図上段は、1990年代前半の株式市場の推移(円ベース)
下図下段は、1990年代前半のUSと欧州の鉱工業生産指数の推移
以下参考:本日読んだ良いFinancila Timesの記事
財政同盟・・・うまくいくわけ無い、大陸欧州は一枚岩ではない
そりゃそうだ、過去1000年の欧州の歴史を考えれば、誰かが突出して支配しようとすれば、それが欧州全体で正しい(=全体最適)政策であっても「妨害することで国益(=部分最適)を守ろうとする」国が連合を組んで妨害を成功させてきた事実は多数ある。
( またドイツ流という事は、ヒトラーの第三帝国を連想する嫌悪感も一部にはあろうし、ラテンの国々はDNA的について行けないと、私は思う。 )
( オリジナル記事はこちら )
ナショナリズムで高揚するUK保守党の欧州懐疑派だが、ナショナリズムの高揚は、スコットランドやウェールズのナショナリズムも高揚させる。
( そこまでは書いていないが、最悪の場合は、United Kingdomが分裂する? )
しかし、下の部分は読んでいて驚いた
Sir Jon Cunliffe, Mr Cameron's Treasury adviser, is being blamed. He decreed that the Foreign Office be locked out of summit preparations. This precluded any serious diplomatic groundwork in other European capitals.
Sir Jon insisted that the eurozone could be "bounced" at the 11th hour into accepting a British protocol to protect the City. This was a negotiating tactic.
Mr Cameron had misread Angela Merkel's intentions following a meeting in Berlin.
Mr Clegg as everyone else had been assured that the Treasury paper was an opening gambit, but in the event it was presented as an ultimatum.
There was no plan B. All in all, as negotiating fiascos go, this one was at the top of the A-list.
( オリジナル記事はこちら )
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ちょっと難解だが、欧州国際政治の分析としては良い記事:要保存だと思う。
特に、歴史(上段コピペ部分)を知って今日を行動している欧州各国首脳だと、投資家も知っておく必要がある。
Great Britain's full engagement and participation were greatly missed by Europe.
The mother of all parliaments might have stopped the European Union straying at times in its democratic behaviour.
British pragmatism would also have been greatly welcomed.
だから今回も話し合いを継続し、影響力を維持することは、UKにとっても大陸欧州にとっても双方の利益になる
( オリジナル記事はこちら )
上の記事の続きだが、
小国が複数ひしめく欧州には、UKにはそれなりの役割がある。
City of Londonの金融力はPIIGS危機克服には必要だ。
なお、UKこそ欧州の友人を必要としているハズだ。
( オリジナル記事はこちら )
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