2012年5月5日土曜日

株式会社兵食様 : 事例紹介 | NEC



株式会社兵食
代表取締役社長
西村 恒一 氏

株式会社兵食
常務執行役員
営業部長
池本 秀明 氏


導入の背景

輸送貨物が原料から調理冷凍食品へと変化。より厳格な品質管理が求められるように

  神戸を中心に7つの冷蔵・冷凍倉庫を持ち、商社や食品メーカーをはじめ多様なお客様向けに食品の保管・配送サービスを提供している兵食様。従来の通関業に加え近年では、子会社であるウノシッピング様と連携し、海上輸送など海外での物流にまで事業を拡大。多様なお客様の商流を支えるグローバル・ロジスティクス企業として成長を続けています。

  「通常、海外から食品を輸入し販売する場合には、輸入者様自身が船会社、通関業者、倉庫業者、さらに国内運送会社を個別に手配しなければなりません。しかし、当社は、それらの作業や手続きに関するサービスをワンストップで提供。輸入者様が個別に複数の業者を手配せずとも、確実に貨物をお届けいたします」と同社の代表取締役社長 西村 恒一氏は話します。

  このワンストップ物流サービスに加え、同社の大きな特長となっているのが、食の「安全・安心」に対する積極的な姿勢です。

  例えば、同社は2009年12月に安全な食品を生産・流通・販売するための国際標準規格「ISO22000」を取得。「その規格に基づいた作業マニュアルを整備し、運用の徹底を図っています」(西村氏)。また、貨物の安全管理とコンプライアンス体制が確立された事業者に交付される「特定保税承認者」の資格も取得しています。

  このような取り組みの背景には、食の安全性に対する社会的なニーズの高まり、そして、取り扱う冷凍貨物の変化があるといいます。


トップManagmentのチームの多様性の将来の研究

  以前は、冷凍食品の輸入といえば、調理前の原料をブロック状の氷の中に封じ込めた「冷凍ブロック」という形で食品を輸入するケースが大半でした。しかし、最近では輸入者様の生産拠点が中国をはじめ広くアジアの海外工場へ移転するようになり、現在、輸入貨物の多くは、すでに調理・パッケージされた調理冷凍食品となっています。「冷凍ブロックは、少し氷の角が欠けたとしても安全性に影響はありませんが、調理冷凍食品はトラブルが品質劣化に直結する可能性がある上、それが、そのまま消費者に届けられてしまいます。ですから、より厳格な品質管理が求められるようになっているのです」と同社の常務執行役員 営業部長 池本 秀明氏は説明します。

導入の経緯

クラウド型のサービスだから、初期投資を抑制しつつ利用を開始できる

  厳格な品質管理が求められるとはいえ、同社が1日に取り扱う貨物数は十数万ケースにものぼります。また、海外からの輸入貨物は輸送時間も長い上、積み込みや荷受け、倉入れなど作業プロセスも複雑です。したがって、貨物を1つずつ人手でチェックするのは現実的ではありません。

  そこで、同社が導入したのがNECの『物流品質トレーサビリティ for SaaS』です。

  これは、温度、湿度、衝撃を測定するFeliCa通信方式のセンサ付きタグと、インターネット経由で利用するSaaS型の管理アプリケーションからなるサービス。これを活用することで、流通過程の「いつ」「どこで」「何が」起こったのかをきめ細かく把握することが可能になります。

  具体的には、出荷時に商品や梱包箱、あるいはコンテナにタグを貼付。するとタグが流通過程の温度、湿度、衝撃を記録し続けます。着荷後、その情報を管理アプリケーションに読み込ませれば、記録された情報が管理画面にグラフィカルに表示され、流通過程の温度管理状況、輸送時に加わった衝撃の大きさなどを知ることができるのです。これにより、万一、品質劣化トラブルがあった場合には、原因を特定し、素早く対処できるほか、トラブルが起こりそうな予兆を検知して、改善策を検討することも可能になります。


どのように私は自分の会社を始めるのですか?

  「流通過程の情報を収集・管理できれば、ISO22000準拠の担保データとしても有効だと判断しました。加えて、導入の容易さも決め手の1つでした。このようなシステムを独自に構築するには、膨大なコストと手間がかかります。しかし、『物流品質トレーサビリティ for SaaS』は、SaaS型で利用できるクラウド型のサービスであるため、そうした手間もコストも不要。初期投資を抑止しつつ、手軽に利用を開始できました」と池本氏は述べます。

システム概要

情報の読み取りはタグをリーダにかざすだけ。簡単操作で現場からも高評価

  『物流品質トレーサビリティ for SaaS』のタグは、温度計測用、温度・湿度計測用、温度・衝撃計測用、温度・湿度・衝撃計測用など、用途に応じて選択が可能となっていますが、今回、同社は温度・衝撃測定に対応したタグを導入しました。また、タグ本体は、W90mm×H34mm×D15mm、重量約45gと非常に小型・軽量化されており、どんな貨物にも貼付しやすい形状を実現しています。

  このタグが測定・記録した情報を読み取り、管理アプリケーションで閲覧するわけですが、今回、同社はPCに接続したリーダライタからだけでなく、携帯電話からもタグ情報の読み取り、管理画面の閲覧ができるような構成としています。「将来、様々な場所から、多くの人が情報にアクセスできるようにしておくためです。データを読み取る際は、タグをFeliCa対応のリーダライタ『PaSoRi』の上に載せる、もしくは、FeliCa対応の携帯電話をかざすだけで完了し、とても簡単に扱えると現場では非常に好評です」と西村氏は話します。

  タグの測定条件などは、管理アプリケーション側から設定する仕組みとなっていますが、こうした操作もクリックやプルダウンを中心に行えるようになっており、IT機器の利用に不慣れな人にも配慮されています。

  一方、導入後に改善された点もあります。当初、管理アプリケーションの温度表示画面は、タグの測定範囲であるマイナス40℃からプラス80℃までの範囲で温度を表示していました。しかし、同社が測定する温度は、ほとんどが0℃以下。プラスの温度帯に表示される情報は、ほぼありません。


アウトソーシングのいくつかの方法は何ですか?

  「表示幅が広いことでかえって情報が見づらくなっていました。その点をNECに伝えたところ、すぐに改善してくれました。このようにユーザ側の意見やノウハウを集約し、進化し続けられるのもクラウド型サービスならでは。今後も、より使いやすいサービスに進化していくものと期待しています」(池本氏)

導入の成果と今後の展望

全流通過程のモニタリング実現を視野に、社内の品質管理基準策定に活用

  『物流品質トレーサビリティ for SaaS』を導入したことで、同社は、より強固な品質管理を実現する体制が整いました。今後は、この『物流品質トレーサビリティ for SaaS』を活用して、海外の生産工場からエンドユーザに近い場所まで、全流通過程のモニタリングを実施する構想を描いています。

  具体的には、生産工場から商品が出荷される際に梱包箱にタグを貼付し、そのまま小売店などまで配送。店頭に並ぶ直前でタグを取り外し、品質管理情報を読み取ります。さらに海外から貨物を輸送する直前にコンテナにもタグを貼付しておき、国内に届いたタイミングでコンテナ側のタグだけを外してチェックするようにしておけば、二重の品質チェックを行うことも可能になります。こうすることで、商品が工場で生産され、店頭に並ぶまで、全流通過程でより厳格な品質管理が行えるようになると考えているのです。

  とはいえ、この構想を実現するには商社や食品メーカーなど、関係各社との連携や調整が必要になります。そのため、同社では、各社との調整を図りつつ、段階的に利用範囲を拡大するアプローチを選択しました。現在は、まず社内の品質管理基準の策定に『物流品質トレーサビリティ for SaaS』を活用しています。

  微妙な温度変化が品質に影響するため、冷凍倉庫内の商品すべてを最適な温度で保管するには細心の注意が必要になります。そこで、同社は『物流品質トレーサビリティ for SaaS』によって測定・記録された様々な状況下での箱の表面温度と箱内温度データを、品質管理に役立てようとしているのです。箱の表面温度と箱内温度の正確な相関関係が分かれば、箱を開封せずとも中の商品の状況を把握することができるようになります。


  「これまで、こうした品質管理のノウハウは、ベテランの経験に頼ることが多かったのも事実です。しかし、品質を維持する最適な方法を確立できれば、作業を平準化することができます。また、最適な温度管理を行うための積載方法、配送ルートなどの改善に役立てることもできるでしょう。そうすれば、単に貨物の物流を請け負うだけでなく、提案力の高いビジネスを展開できるようになると期待しています」と西村氏は力強く語ります。

  また、現在、同社が利用している倉庫内の商品管理システムや基幹システムと『物流品質トレーサビリティ for SaaS』を連携させ、より高度なトレーサビリティの仕組みを構築することも視野に入れています。「現状に満足せず、常に新しいものに目を向けるのが当社の方針。今後もNECの提案力には大いに期待しています」と話す池本氏。さらなる飛躍に向け、常に先を見つめる同社のチャレンジは続きます。

NEC担当スタッフの声

積み上げた経験とノウハウがお客様の評価の源泉

NEC神戸支社
主任
菅 暁雄

  『物流品質トレーサビリティ for SaaS』のような仕組みは、センサやRFIDといった要素技術の優劣だけでなく、それをどのように組み合わせ、運用していくかというノウハウが非常に重要になります。その点、NECは様々なお客様へのシステム導入経験から、多くのノウハウを蓄積しています。

   また、ノウハウの蓄積という面では、東京と上海、シンガポールに当社が設置している「RFIDイノベーションセンター」も大いに役立っています。これは、実際の利用環境に近い条件でRFIDソリューションの検証を行える施設。これまで、多くのお客様が見学に来場されたほか、この場を使って様々な実証実験を行ってきました。そこで蓄積したノウハウが、『物流品質トレーサビリティ for SaaS』などのサービスに生かされているのです。

  こうした長年の取り組みがソリューションやサービスの説得力を高め、兵食様をはじめ、多くのお客様に評価されているのだと自負しています。

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(2010年9月16日)



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