日本を始め多くの先進国が現在急成長中である経済大国予備軍に進出し、新しいマーケットで投資を行っている。
嘗て、ゴールドマンサックスに BRICS と名付けられたブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国の GDP は、現在、軒並み上昇し、先進国と肩を並べるうる存在となっているが、これらの大国に続く Next Eleven も目覚ましい発展を遂げている。
(BRICS や Next Eleven の各国の多くは、2050年には日本と同等かそれ以上のGDPを持つ国になると予想されている)
今回ご紹介する舞台となるインドネシア(首都 ジャカルタ) も、また、Next Eleven の一つとして挙げられ、その経済発展と呼応するかのように新しい文化が次々と産出されている。
新しい文化は、本質的には社会のアーキテクチャの中で自然発生的に産まれるものだが、現在のグローバル化する世界に於いて、カルチャーが産業の一旦を担うようになった事で、持続的に育てていくという視点も産まれている。
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その発展には国、政府、そして企業といった潤沢な資金を持つ組織のサポートが必要であるのは、近代化された国を観れば一目瞭然だ。(アーキテクチャによっては殺されてしまう文化もあるのも事実だが。)
こうした文化と企業の連関性、そして、ローカライズではない独自の文化発展について今回は、インドネシア ジャカルタで産まれたHip Hopカルチャーを元に考えてみたい。
ジョグジャ・ヒップホップ (ジャカルタ産まれのHip Hop)は、何処の国のHip Hopが産まれた過程と同様にストリートから輩出されてきた。言語は、公用語であるインドネシア語が大半だが英語と折衷したものもある。
ここには、アメリカ西海岸のヒップホップの影響も大きいが、伝統的なジャワ島人の詩や、ワヤン・クリと呼ばれる人形を用いた伝統的な影絵芝居がインスピレーションとして彼らに影響を与えている。
特に、 ワヤン・クリのガラムン奏者が使用する鉄琴や、そのリズムに自由奔放に動く影絵師のスタイルなどがラッパーのフリースタイルを形造っているのは興味深いことだ。
テキサス州の非営利の方法
日本の Hip Hop を見渡すと、黒人労働歌のルーツを源泉とする Hip Hop のモノマネなどと長い間揶揄されてきたが、そもそもHip Hop は、文脈、引用から元へという行為の積み重ねで発展してきた。これは、ある種、弁証法的な積み重ねだともとれる。
この Jogja Hip Hop もまた一部の人間にはモノマネとして映るかもしれないが、現在では、本物はなくなってしまい偽物が跋扈する現状をアイロニカルに語るという行為がクリシェとなってしまった為、正しさ、強さ、美しさ、質という文脈を越えた潔さを求めるような動きがある。歴史を紐解くと実にこうした突拍子もないところから傑作が産まれているも事実なのだ。
また、新興世代では先進国が行ってきたアーティストを搾取をするアーキテクチャに頼るのではなく、デジタルの新しいプラットフォーム、ソーシャルメディアが彼らの活動の中心になりつつある。既存のレコードレーベルやプロデューサーの役割が大きく変遷していくのを彼らはつぶさに観察していたからこそ、新しい舵がきれたのだと思う。
私のニュースレターを起動する方法
今回のドキュメンタリーは、アメリカの半導体メーカー intel のサポートのものだが、過去と比較して、アーティストもしくは文化に対する支援もよりフラットになって来ている。
当然の事ながら、文化レヴェルに於いての付加価値とは、その国、その地域の文化をベースに他文化をミックスすること、ストーリーを創ることが重要となっており、"略奪"、もしくは、右から左へものを動かしてサヤを抜く"交易"でビジネスが出来る程、現状は甘くない。
1600年頃、東インド会社がアジア貿易の拠点としてジャワ島やインドを選択した。
東インド会社といえば、株式会社の最初の仕組み、企業家(アントレプレナー)と投資家(インベスター)の原形だが、intel とジョグジャ・ヒップホップ カルチャーとの関係性を観察すると非常に感慨深いものがある。
そして、こうした事例を見て日本に目を向けた時、進むべき道が少し拓けてくるかもしれない。
現在の激動の生存競争を生き残るには、自らの殻に閉じこもるだけでなく、まだ多く残されている日本のノウハウや美的感覚、秩序を他国、他地域に単純なローカライズではなく、共に創り上げるという、真なる投資の姿勢を行うことが必要なのだと感じる。
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